カウンセラーをどう選ぶか

「札幌 カウンセリング」で検索するとたくさんのカウンセリングルームのホームページがヒットします。あふれる情報の中で、どのようにご自身のカウンセラーを選んだらよいか、あくまで「わたしが選ぶならこう選ぶ」という視点で挙げてみます。

1.「臨床心理士」「公認心理師」ダブルライセンス

まず最初にわたしはここを見ると思います。国家資格である「公認心理師」1つでももちろん良いのですが、その場合は心理職としてしっかり働いているか経歴を確認することをすすめます。背景としては、所定の単位を修めての大学院修了者のほかに、長く心理の現場ですでに働いている現任者を対象として「Gルート」受験(わたしもここで受験しております)枠が5年ほど設けられました。Gルートでの受験資格は、かなり広い範囲で取得可能で受験資格を得られるもので、心理の仕事をしていなかった方でも近接領域で働いていれば実質は受験可能でした。そのため、専門性が異なる中で「公認心理師」を取得している方もおられます。もちろん、すぐれた臨床をされる方がたくさんおられるのですが、「資格が取れたので今日から名乗ってみました」という方が混ざっていないとも限りません。「公認心理師」の資格は、心理支援を業として行うための最低限の知識を担保していると現在のところは考えていた方がよいと思います。

「臨床心理士」にも指定大学院修了以外にも門戸が開かれていた時代がありました(学士+実務経験による受験は平成18年を最後とし、平成19年より指定大学院修了者や医師免許取得者のみとなっています)。わたしもその時代に「臨床心理士」を取得したのですが、経歴の認定も、二次試験である面接も、実際に心理の仕事をしていなければ難しいものであったと記憶しています。そして、臨床心理士は5年に1度の更新があり、研修やスーパービジョン等で獲得したポイントが規定に満たなければ資格を更新できません。資格を取って終わりではなく、最新の学びを続ける姿勢が民間資格である「臨床心理士」には求められています。

そういった理由で、わたしは「臨床心理士」「公認心理師」ダブルライセンスのカウンセラーを候補にします。

2.まごころや傾聴のみを謳っていない

誤解していただきたくないのですが、「傾聴」はカウンセリングの効果を発揮するベースになるもので、なくてはならないものです。それプラス、なんらかの専門性を身につけているようであるか、資格、経歴や所属学会などで確認します。「寄り添ってお話をお聴きします」ということのみをプッシュしているようであれば、良し悪しは別として、聴くだけでおわったという印象のカウンセラーに出会う率が上がると思います。逆に、相談ニーズがとにかくとことん聴いてほしいということであれば、傾聴を前面に出しているカウンセラーがよいと思います。

3.当事者としての経験を開示することについて

カウンセラー自身が、深刻なこころの危機や精神疾患を経験していたり、あるいはその家族である、という立場から、心理の道を志すことがあります。そういった方は、しばしば、その経験のないカウンセラーでは代替できない深さの支援を行うことができる方だと思っています。ただ、カウンセラー自身がその経験を自身の中でしっかり消化できており、ある程度距離をもって眺められているかどうかは、当事者であるという記載だけからはわかりません。もしカウンセラーが臨床に支障がない程度にご自身の経験を消化されていない場合は、似たような主訴の相談者が現れた際、自身の経験との類似性に引かれてちがいや個別性に注意を払いにくくなり、自身の経験にひきつけた解釈やアドバイスをしてしまいやすいものです。それはパワフルで、最初はとても頼りがいのある道筋に見えますが、その主訴に至るまでの機序が異なっている場合、合っていない支援となるわけで、それは有害なことです。何も知らないカウンセラーがお聞きしながら0から一緒に組み立てた方がよほどよかったということもあり得ます。逆に、当事者としての経験をある程度整理できているカウンセラーならば、むしろおすすめです。ただ、これはあくまで私的な印象ですが、「経験したからこそ」ということを一番の強みとして押し出している方は、いったんその観点で注意を払ったほうがよいと思っています。

4.所属学会・団体を明記している

学会に入ると、まず年会費が毎年かかります(結構高いです)。学会に入るメリットのおもなものとして、学術誌が送られてきてその分野の最新の研究を見ることができます。年1回の学術集会にも会員価格で参加でき、その分野の横のつながりを持つことも可能です。また、各種ワークショップ等の研鑽の情報にも触れやすくなります。所属学会は、その道の専門家としてやっていく意思表示のようなものでもあります。

所属団体は、その人の賛同するものやアイデンティティとしてあまり違和感のないものが挙げられていると思います。

専門職としてのありようを示すものとして、大切な情報であると考えます。

5.ことばづかいに違和感がない

ホームページで情報を収集して判断されると思うのですが、その記載のことばづかいに違和感を感じるようであれば、やめておいた方がよいと思います。単語の使い方ひとつとっても、それを含む事象への理解の深さを知ることができます。特に、カウンセリングはことばを用いることが多いので、ことばについて、この人ならば、と思える表現をしている方に出会っていただきたいと思います。

6.幅広か、ピンポイントか

ご自身がカウンセリングで取り扱いたいと思っていることが、漠としていてなんとなく絞りづらい場合は、〇〇専門、というよりは、幅広に取り扱っているカウンセラーが良いと思います。逆にそれらが絞れていて、「自分はトラウマ療法を受けたい」「認知行動療法を受けたい」「夢分析や箱庭療法に関心がある」等明らかになっている場合は、それを専門にしているカウンセラーが良いでしょう。ただ、トラウマ療法を希望して来談されたけれども、よく話を伺ってみると精神科医療機関にかかる優先度が高かった、認知行動療法を受けたいと希望して来談されたけれども、ほかの療法がより適していた、といったことはよくあることですので、その可能性も念頭に置きつつ、現時点での希望をカウンセラーに相談されていくとよいと思います。

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